404,Yuichi Nakashima,中嶋佑一








YN/TP/20AD Yuichi nakashima Teenage Psychodrama Yuichi nakashima Teenage Psychodrama
中嶋佑一の個展「Teenage Psychodrama」を、2月8日~2月16日までの期間、大阪・北加賀屋にあるクリエイティブセンター大阪内のスタジオパルティッタにて開催いたします。

中嶋は過去数回の展示において「個が持ち得るとされるアイデンティティとは、どのように作られどのような意味を持って社会の中で存在していくのか」を、自身の出生や、生物が人間世界における国境を越えていくこと、などをモチーフにして作品を制作・発表してきました。

本展では、この世界のものごとを区分けする境界線について、そのうちの一つである「ジャンル」に着目することからはじまります。個が個であるがまま異なったもの同士が溶けあおうとするとき、何が可能になり何が不可能になるのか、またその先に立ち現れるものがあるとするならばそれは何なのか、それらについて、人間の身体と衣服を基点として探っていきます。



本展に向けて


「形を持たないはずのものに形を与えること、今ここにないものを呼び寄せること。」


自分は20歳を過ぎたころから衣服を作る仕事をしてきました。もっとも、自分が実際に多くの時間とエネルギーを注いで関わってきたのは舞台芸術における衣裳を企画するという仕事でしたが。

人間と衣服に関すること、その傾向全般を指して日本ではファッションと呼ばれたりします。アメリカではスタイル、フランスではモードと言ったりもします。

ある時に自分が遭遇したことがきっかけとなって、美術・コンテンポラリーアートと呼ばれる世界に強い関心を持ちました。それから自分でも何かやってみたいと思うようになりました。

衣服に関する興味は10代の頃からあり、独学ですが手探りで作り始めてもいたので、自分の位置からファッションという遠くの世界を見渡すということもありました。そこには自分が知らず及びもしないような衣服についての考え方や発想・哲学があり、その分だけ多くの先人の作り手が存在していることを知りました。

そのようなファッション・衣服の世界の中で、人間と衣服の関係をどう考えるかっていうことの一つに「ファッションとは、今を生きている人々がそれを着て初めて完成する」という一文がありました。一方で、このデザインの服は派手すぎるから街へと着て出られない(社会的な調和が乱れる?)とか、デザインは綺麗なんだけど物理的に動きにくい・生活するのに不都合な点がある(身体的感覚の縮小?)とか、そういった衣服とそれを着る人間とのバランスを欠いてしまったかのようなものに対して放たれる言葉に「こんなんじゃファッションじゃなくてアートになっちゃう」といった表現がしばしば見られました。 自分はファッション・衣服が好きでそれとともに社会の中で生きていこうと思ったことがある人間ですが、その思いと同様にアート・美術に対しても同じくらいの意識で接していきたいと思っていたものですから、ここでふと立ち止まってしまいました。 着て生活するには支障をきたす衣服の最終の行き場として「それではアートになっちゃう」と言っているように聞こえて、それはなんだか投げやりな感じがするし、アートを下に見ている感じもするっていうか。で、その人たちにとってアートってどういうものなのだろう、どういうものとして理解しているんだろう、と思うんですけど、あんまり納得できるような言説っていうのを表わしてくれる人がいなくて、はっきりとしないもやもやっとした感じでしかなくて、それに対してのいらだちというか、そういうことに対して真正面から取っ組み合ってみようという人もあんまり見当たらなくて、じゃあ自分がそれをやってみようと思いました。

そもそもジャンルなんていうものは西欧で芸術が生まれる過程では神が死んだとされた時点で生み出されたものであるらしいし、それまでは区分けなんてなくて宗教に拠り所を持つなんとなく一つの塊だったわけだから、それらが長い時を経る中で寄り添ったり離れたりといった動きを、宗教以外のその時代時代の何かに依って立つところで繰り返すことがあっても不自然ではないんじゃないかっていうのもあるし、この辺で、アートって何か?、ファッションって何か?、それぞれが独立するために、ジャンルをジャンルたらしめているアイデンティティみたいなものがあるならば、その境目を改めて見てみよう、そしてその境目を越えられるとするならばその基点を、その依って立つところをかつての人々は神であったけれど、自分は人間でやってみよう、というのが今回の作品・展示のテーマであり、入り口かなぁと思います。



中嶋佑一 「Teenage Psychodrama」

会期:2020年 2月8日-2月16日 
会場:STUDIO PARTITA クリエイティブセンター大阪敷地内
住所:大阪市住之江区北加賀屋 4-1-55 名村造船跡地 MAP
電話:06-4702-7085 
開館時間:14:00~19:30(19:00最終入場) 
観覧料:無料
アクセス:大阪市営地下鉄四つ橋線 北加賀屋駅 4番出口 徒歩10分
URL : http://www.namura.cc
協力:CCO クリエイティブセンター大阪